電子基準点、いつからある?

1980年代末 スーパー301条制裁回避のため調達された高価な米国製GPS受信機の大量導入を後押しに、測地学や地震学の研究者がGPS干渉法による高精度測位の実証研究をはじめる。
1992 連続観測網構築に向けて試験観測を開始。
1993

南関東・東海での観測網(COSMOS-G2, 110点)設置。

1994

10/1南関東・東海を除く全国に 120km間隔の観測網設置(GRAPES, 100点)、10/4北海道東方沖地震、12/28三陸はるか沖地震などの地殻変動・余効変動を検出。

1995

1/17兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)で地殻変動を検出。電子基準点を増設し累計887点に。

1996

4/1COSMOS-G2とGRAPESを統合したGPS連続観測網「GEONET」の運用開始。12/9測量法施行規則改正、電子基準点を各種測量の基準点と位置づけ。

2000

3/31有珠山噴火の2日前から地殻変動を検出。

2002

4/1改正測量法施工、世界測地系への切り替え。9/12富士山頂、12/10南鳥島に電子基準点設置。

2003

1200点設置完了、離島を除き常時接続化。

2011

3/11東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)発生、「牡鹿」で東南方向へ5.3mの変位を観測。5/31巨大地震で生じた東日本全域の地殻変動を反映し、基準点の座標値を更新した「測地成果2011」(元期2011年5月24日・東日本/1997年1月1日・西日本)を公表。

2013

マルチGNSS化に対応し、ロシアGLONASS、みちびき(QZSS)のデータ提供開始。

2016

4/1欧州Galileoのデータ提供開始。4/1電子基準点の動きを把握するREGARD運用開始。4/14熊本地震で南阿蘇村「長陽」における約1mの変位をREAGARDで捕捉。

2018

11/1電子基準点の観測データを活用し生成された高精度測位のためのCLAS補強信号の、準天頂衛星みちびきからの配信(正式サービス)が始まる。

(国土地理院資料「電子基準点1,200点の全国整備について」などを参考に)

 国土地理院から豊富な資料が公開されているので、電子基準点整備の歴史を辿るのは容易ですが、時代背景や社会情勢も踏まえ一歩踏み込んだエピソードについては、さらに調べを進めていきたいと思っています。
 前史としての「日本のVLBI史」「準天頂衛星の蹉跌と復活」や、もちろん「GPS開発史」にも目配りしつつ..。