未来へGO x 6!

 (画像: https://go.gnss.go.jp/mirai/map/ )

 2022年4月1日、GNSS関連の新たなデータ提供サイトがオープンしました。世界291点のGNSS連続観測点(CORS)から送られてくる受信データを、RTCM3形式(リアルタイムデータ)とRINEX形式(アーカイブデータ)で無償提供する go.gnss.go.jp(以下、GO! GNSS。正式名称はMIRAIだそうですが、どういう名称で定着するかまだ見通せません)。

 

 日本国内から参加のCORSを見てみると、JAXAの臼田や小笠原、国土地理院は石岡、姶良など、VLBIアンテナに併設(姶良は撤去)の、IGS点でもある点がほとんどのようです。

 

 本家・国土地理院の電子基準点に関しては、アーカイブデータは無償ですが、リアルタイムデータはVRS/携帯電話事業者を介しての有償サービスとなっています。携帯電話事業者独自のRTKサービスもとうぜんながら有償。無償でリアルタイムとなると、自分で基地局を建てるか、それらを集積した「善意の基準点」などの無保証のサービスとなります。

 

 GO! GNSSは、世界のCORSからのデータを無償提供するサイトです。といっても、そもそもマネタイズの難しいデータですし、類例のないサービスであり、どこかと競合するわけでもなく(しかも英語ページのみ)、公開するうえでの不利益も私の知識では思い至りません。オープンデータにして新たな用途を見つけてもらうほうが、人類のためになるとの考えからでしょうか? 官民協力し、衛星画像や3D点群などをオープンデータとして提供する試みも始まっており、そうした流れの一環でしょうか?

 

 いずれにしても「ジャパーンを超えて、アジアを超えていくんだからねっ!」(以下参照)という意欲的な試みと思います。

カタールW杯アジア最終予選・豪州戦で衝撃の2ゴールを決めた三笘薫選手は、2021年の川崎フロンターレ新体制発表会で寸劇を披露、キレッキレの演技力で「ジャパーンを超えて、アジアを超えていくんだからねっ!」という名言を残した。「GO x 6! 」もそこでの言葉。ちなみにGO! GNSSでも豪州のデータが非常に厚い。

 またこれが実現したのは、間違いなくMADOCAの資産があってこそでしょう。

 

 世界中で使えるMADOCA補正情報の生成には、世界中のCORSからのデータが必要となります。「地球を正二十面体に見立て1面4点、計80点のCORSのデータが得られれば理想的」という話も聞いたことがあります。海がちな惑星ですのでなかなかそうも行きませんが、可能な限りそれに近づけようと、各国各局のCORSオペレータと交渉を重ね、データ利用の道筋をつける努力が続けられてきました。もちろん交渉ですから、相手方のメリットも考える必要があります。また、ネットワークの品質や周辺環境により、データの品質も良かったり良くなかったりします。

 

 そういうやりとりや工夫を積み重ねた末に、MADOCAが運用されているわけですが、その努力がいわば「資産」となって、今回のGO! GNSSにつながったのだと思います。

 

 どんなデータの使い方が考えられるか、どんな遊び方ができるのか。これからも探っていきたいと思います。